認知症の興奮と暴力行為の対応法|服薬の拒否の対応法|妄想の対応法|夕暮れ症候群の対応法

認知症の興奮と暴力行為の対応法
些細なことで興奮したり、暴力をふるうことがあります。
周囲の方がご本人のためにせっかく介助の手を差し伸べても、それがうまく理解できずにかえって邪魔に思えたり、かっとなった感情を抑えられなくなったりするからです。
力で対抗しない
暴力をふるわれた時に、周りの方がつられて興奮したり、力で押さえつけたりすると、かえってご本人の興奮を増してしまうことがあります。
身の危険を感じた時には、その場をいったん離れましょう。
刃物などの危険物は遠ざけておきます。
注意をそらす手段をみつけましょう
ご本人のなじみの歌を歌いかけたり、別の興味ある活動に誘ったりするなどして、興奮の原因となっていることから、注意をそらしましょう。
日ごろからご本人が没頭できる作業(編み物やパズルなど)をみつけておくと役立ちます。
医師に相談を
物を壊したり暴力的になることが続いたり、あるいは患者さん自身に危険がおよぶ可能性がある場合には、早めに医師に相談してください。
認知症の服薬の拒否の対応法
高齢者の方に処方される薬は、種類も多く、なかなか管理が大変です。そのうえご本人は「どこも悪くない」と思っていることが多いですから、飲んでいただくのがまたひと苦労です。
「毒を盛られている」といった妄想を抱いている場合もあります。無理に勧めてもすぐに吐き出してしまうことも多いので、注意深い対応が必要です。
納得しやすい説明を
「血圧が高いので血圧を下げる薬です」「ビタミン剤です」など納得していただきやすい説明をしてみましょう。今かかっている病気を忘れている場合は、「歯医者さんの薬です」など、覚えている病気を理由にしてみるのも一つの方法だと思います。
形をかえてもらってみましょう
医師に相談して、ご本人の飲みやすい形状に変えてもらうのもよいでしょう。
薬によっては同じ効力でゼリー状になっているものや、水分に混ぜやすい液剤、貼り薬などもあります。
ただ、ご家族の方が勝手に砕いたりカプセルを開けることは、薬の効力を損なったり、苦みが出て飲みにくくなる可能性があるのでよくありません。薬剤師、医師に相談しましょう。
周囲の方も一緒に
周囲の人が一緒に(ビタミン剤やラムネ菓子でもかまいません)薬を飲んでみせると服薬することがあります。
どうしても飲めない時は
医師に相談してジャムやゼリーに混ぜ込んでよいものなら、そうした手段をとることもあります。薬を飲むためのゼリーは市販もされています。
食事に混ぜ込む方もいらっしゃいますが、せっかくの食事がおいしくなくなってしまい、食事拒否につながりかねません。混ぜる場合は、ほんの一口だけ別分けにして混ぜ、食事自体はおいしく召し上がっていただきましょう。
時間は融通をきかせられる場合もあります
食前、食後、食間・・・となっていても、薬によっては融通をきかせられるものもあります。医師に事情を説明して何時間おきならよいのか、食事を前後してもよいのかなど尋ねてみてください。 また、最も大切な薬は何か、一回にまとめられないかを相談し、必要な回数だけは最低限飲んでもらうようにしましょう。
認知症の妄想の対応法
事実でないことを本気で信じ込むことがありますが、これを妄想といいます。
困ったことに妄想は被害的なものが多いです。
「物盗られ妄想」は、金品などを盗まれたという思い込みです。しまい忘れたり、置き忘れたりした財布や眼鏡などの身のまわりのものを人に盗まれたと思ってしまいます。
「嫉妬妄想」といって夫や妻が浮気をしている、と信じ込む妄想もあります。
「誰かが家にいる」というものや「ここは自分の家ではない」という妄想もあります。
病気になる前には、とてもしっかりしていて周囲から頼りにされていた方が、しばしばこのような妄想を抱かれます。
また、この妄想の対象となるのはたいていご本人を身近でお世話している人です。
妄想の対象にされた方は、面と向かって暴言を吐かれるうえに、どんなに自分がその人からひどい目にあわされているかを、他の人に訴えますから、聞いているといたたまれない思いがしますし、介護する気も失いかねません。
徐々に自分が衰えてきたことの自覚から生じる不安や焦りが、金銭への執着や見捨てられるかもしれないとの恐怖に発展するのだと思われます。
これに加えて、介護して下さる方への感謝や負い目、上下関係の逆転といった変化が複雑に絡んで出現する症状といえるでしょう。
否定してもかたくなになられるだけです
「違います」と否定しても逆に「自分の言うことを信じてもらえない」と不安や怒りでかたくなになり、妄想が強くなることがあります。「そうですか。困りましたねぇ」など相槌を打ちながら訴えを聞き、否定もせず、肯定もしない態度で接することが大切です。
安心感や生きがいを大切に
「少し年をとって、弱ってこられたところもあるけれど、まだまだ家族はあなたのことを頼りにしているし、大切に思っていますよ」というメッセージをいろいろな形で送り続けてください。
たとえば、お味噌汁の味付けをしてもらう、仏壇のまつり方・法事のとり行い方を尋ねる、などご本人が得意としていたことに力を発揮していただいて、その方なりの役割を果たせているという自信を日ごろからもっていただくことは、よい方向に作用します。
周りの人の理解を得るように
周りの方には、認知症の症状として妄想が生じることを説明して理解していただきましょう。
妄想の対象となってしまった方は辛いですが、周囲に認知症を知ってもらうよい機会ができたとプラスに解釈して、介護の味方を増やしてください。
どうしても難しければ距離をとることも有効です
介護者が妄想の対象となり、ご本人が激しく混乱したり、介護する方に極度に負担がかかっている場合は、介護を別の人に代わってもらったり、施設や病院の入所・入院などを利用し、一時環境を変えてみることも有効な手段です。
ケアマネジャーやかかりつけ医、専門医とよく相談して、ご本人と介護するご家族双方にとってよい選択を行ってください。
認知症の夕暮れ症候群の対応法
夕方になるとソワソワして落ち着かなくなったり、少しのことに声を荒げたり、「そろそろ家に帰らせていただきます」とひとり歩きを始めたりするのは、認知症に関わる人の間ではよく知られていることです。
これを「夕暮れ症候群」と呼んだりします。
一般的な生活の中でも、夕方は晩ご飯の用意を始めたり、帰宅したり、何かとあわただしくなる時間帯ですから、ご本人も「いつまでもここにいていいのかしら?」「何かしなくてはならないことがあるのではないかしら?」と、落ち着かない気持ちになってしまうのだと思われます。
また、介護者もこの時間帯は何かと忙しくて、なかなか認知症の方のお世話ばかりしていられない事情が、この症状に拍車をかけます。
「早く話を切り上げて別の仕事をしたい」と思いながら相手をしていると、その介護者のソワソワがご本人にも移ってしまうのです。
好きなことをしている時には起こりません
ご本人が好きなことをしていたり、夢中になっている時には「夕暮れ症候群」は起こりにくい印象があります。
なるべくこの時間帯に合わせて、ご本人の好きなことをしていただけるよう、一日の予定を組んでみましょう。
会話のなかにご本人を加える
夕方ご本人が一人でポツンとしていることがないよう、介護する方や周囲の方は用事をしながらでも積極的に話しかけてください。
話の内容は必ずしもご本人向けでなくても、語尾に「ねえ、お父さん」などとつけるだけで、一体感が生まれます。
軽食やおやつを食べてもらう
夕方の空腹感がソワソワした気分を引き起こしていることもあります。お茶とお菓子、またおにぎりなどでお腹を少し満たしてもらいましょう。
介護する方も一緒にゆっくりお茶を飲んであげると、より気持ちが和らぐようです。
照明の工夫
外が完全に暗くなれば不安が収まってくる方もいますし、逆に暗いと余計に恐怖感が増す方もいらっしゃいます。
ご本人のタイプに応じて、照明を明るくするとか、夕日が入らないようにするなど工夫をしてみてください。
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