眠れないときにすぐ眠れる方法とは?快眠のコツを医師が教えます

不眠に悩んでいる方のために、すぐに寝るためのコツを紹介します。不眠症の方はもちろん、寝つきの悪い方や、より質の良い睡眠を得たい方のために、すぐ簡単に実践できる快眠に役立つ情報をまとめました。
質の高い睡眠は脳の健康の維持・向上にとって重要です。睡眠障害のチェック方法も紹介していますので、「布団に入ってもなかなか眠れない」「寝ようと意識するほど余計に眠れなくなる」など、日々の睡眠に何かしら問題を抱えている方は、ぜひ参考にしてみてください。
睡眠障害(不眠症)に関するセルフチェック
まずは、ご自身の「睡眠障害(不眠症)」の可能性をチェックしてみましょう。
以下は、AIS-SJ(アテネ不眠尺度・簡易日本語版)という睡眠障害の評価尺度です。この表で6点以上の場合、睡眠障害の可能性が考えられます。
ご自身の睡眠障害(不眠症)の可能性を把握した上で、その原因や対処法について学び、健康状態の維持・改善につなげましょう。
項目 | 眠りのセルフチェック | |||
|---|---|---|---|---|
寝床についてから実際に寝るまで、時間がかかりましたか? | いつもより寝つきは良い | いつもより時間がかかった | いつもよりかなり時間がかかった | いつもより非常に時間がかかった、あるいは全く眠れなかった |
夜間、睡眠の途中で目が覚めましたか? | 問題になるほどのことはなかった | 少し困ることがある | かなり困っている | 深刻な状態、あるいは全く眠れなかった |
希望する起床時間より早く目覚めて、それ以降、眠れないことはありましたか? | そのようなことはなかった | 少し早かった | かなり早かった | 非常に早かった、あるいは全く眠れなかった |
夜の眠りや昼寝も合わせて、睡眠時間は足りてましたか? | 十分である | 少し足りない | かなり足りない | 全く足りない、あるいは全く眠れなかった |
全体的な睡眠の質について、どう感じていますか? | 満足している | 少し不満である | かなり不満である | 非常に不満である、あるいは全く眠れなかった |
日中の気分はいかがでしたか? | いつもどおり | 少し滅入った | かなり滅入った | 非常に滅入った |
日中の身体的および精神的な活動の状態は、いかがでしたか? | いつもどおり | 少し低下した | かなり低下した | 非常に低下した |
日中の眠気はありましたか? | 全くなかった | 少しあった | かなりあった | 激しかった |
合計(0~24点)の目安 | ||||
なぜ眠れないの?不眠症の診断と原因
一時的な不眠か、それとも何らかの工夫や医療機関の受診をした方がよい不眠なのか、判断に困ることもあるかもしれません。
どんな症状があったら不眠症と診断されるのか、なぜ不眠症になってしまうのかを解説します。
不眠症の診断
不眠症は、夜間の不眠が続いている、日中に精神や身体の不調を自覚して生活の質が低下している、この2つが認められたときに診断されます。
また、不眠と日中の不調が週に3日以上あり、それが3カ月以上続く場合は慢性不眠症、3カ月未満の場合は短期不眠症と診断されます。
さらに、不眠症状のタイプには、寝つきの悪い「入眠障害」、眠りが浅く途中で何度も目が覚める「中途覚醒」、早朝に目が覚めて二度寝ができない「早朝覚醒」などがあります。これらは、不眠の原因を探ったり、睡眠薬を選択したりする際に参考になります。
不眠症の原因
慢性不眠症の原因はストレス、精神疾患、神経疾患、アルコール、薬剤の副作用など多岐にわたります。慢性不眠症は成人の約10%にみられ、特に60歳以上では半数を超える方にみられることを考慮すると、加齢も原因の1つと言えるでしょう。
下記に、不眠症の原因をまとめました。
不眠の原因
項目 | 内容 |
|---|---|
ストレス |
|
身体の病気 | 高血圧や心疾患、呼吸器疾患、腎臓病、前立腺肥大、糖尿病など、さまざまな身体の病気 |
こころの病気 | うつ病など、多くのこころの病気 |
睡眠障害 | 睡眠時無呼吸症候群やレストレスレッグス症候群(むずむず脚症候群)などの睡眠障害を引き起こす病気 |
薬や刺激物 |
|
生活リズムの乱れ | 交替制勤務や時差など |
環境 |
|
不眠症が病気や薬などの影響であれば、医療機関への相談を検討しましょう。それ以外の原因については、調整が可能なものは対処を行い、さらに次の方法を合わせてみると良いでしょう。
自宅でできるすぐに眠れる方法5選
ここでは、眠れずに困っている人のために、簡単で続けやすく、自宅でできるすぐに眠れる方法を5つご紹介します。
眠るのに適した環境を作る
よい睡眠をとるための環境作りで重要なのは、光と温度と音です。ご自身の寝室の環境を見直してみましょう。
① 光
夜は間接照明で照明を弱くしたり、暖色系のライトにして暗い環境を作りましょう。また、就寝中は、低い照度の光でも中途覚醒時間を増加させ、睡眠の効率を下げることが報告されています。
スマートフォンなどの光には体内時計への影響が強い短波長光(ブルーライト)が多く含まれています。スマートフォンやタブレット端末は寝室に持ち込まないようにしましょう。
② 温度
室内は暑すぎず寒すぎない温度に調整しましょう。冬には、就寝前に過ごす部屋の室温が低いと入眠潜時が延長すること、また夏には、寝室の室温上昇時に睡眠時間が短縮し、睡眠の効率が低下することが報告されています。また、就寝前の入浴は手足の血管を拡張させるため、良眠のためにも就寝1~2時間前に入浴することもおすすめです。
③音
騒音に対する感受性には個人差があります。しかし、騒音によって覚醒頻度が増加し、深い睡眠が減少する可能性が報告されているため、光の調整とあわせて遮光・遮音など機能性の高いカーテンの使用をおすすめします。
空腹のままで寝ない
空腹のままで眠ろうとしても睡眠の妨げになる可能性があります。規則正しい食生活を送るのがベストですが、寝る直前に空腹になってしまった場合は、ホットミルクや小さいおにぎりなどを夜食にするのがおすすめです。
漸進的筋弛緩法で身体の力を抜く
ちょっとした運動で、副交感神経系のはたらきを優位にさせ、安眠モード(リラックス状態)を作ることも可能です。特に、寝る前や夜中に起きてしまって眠れない時に行うことをおすすめします。
筋肉は一度緊張させてから一気に力を抜くと、より緩みやすくなります。これを利用したリラクゼーション法が漸進的筋弛緩法です。焦らずに、じわっと筋肉の力が抜けた感覚に意識を向けて実施しましょう。
漸進的筋弛緩法のやり方
①身体の一部に5秒間力を入れます。およそ6〜7割程度の力で十分です。
②一気に力を抜き、20秒間リラックスの感覚を味わいます。
③ 両手、上腕、背中、肩、首(左右)、腹部、脚、全身の順番で行いましょう。
眠れないときは寝床から離れてリラックス
寝床に入って15分ほど経っても眠れない時は、寝床から出てリラックスできることをし、眠気がきたら寝床に戻ることを繰り返すようにしましょう。
また、一晩の不眠をこわがる必要はありません。眠れなかったら朝まで寝なくてよいと開き直るくらいの気持ちを持つと良いでしょう。このほかにも、「目覚まし」で起きるようにし、夜中は時計を見ないなどの工夫をしてみましょう。
また、睡眠リズムが崩れてきている場合は、「早寝」ではなく「早起き」から始めてみると良いでしょう。
寝る前の水分の摂りすぎやお酒などは避ける
就寝前の水分の摂りすぎを避けると、夜中にトイレに行く必要が減ります。脱水にならない程度の水分摂取は必要ですが、夜間にトイレに何度も行く場合は医師に相談することを検討しましょう。
また、アルコールを飲むと寝つくのがより簡単になる方もいますが、夜中に目が覚めやすくなってしまいます。結果的に不眠になってしまうため、避けた方がよいと言えます。
すぐ眠るための過ごし方
続いて、日中にできる、すぐ眠るための過ごし方を3つ解説していきます。
光の浴び方を工夫する
体内時計を整えるためには、生活の中でいかに早い時間帯に光を浴びるかに注目すると良いでしょう。起床後から前夜の入眠時刻(寝ついた時刻)の12時間後までに光を集中的に浴び、夕方以降は強い光をできるだけ浴びないようサングラスや深めの帽子をかぶるなどの工夫をしましょう。
日中は適度に身体を動かす
適度な運動習慣で日中に身体をしっかり動かすことは、入眠の促進や中途覚醒の減少につながり、睡眠時間や質を向上させます。年齢などにより適度な運動強度と時間には差がありますが、不眠症には有酸素運動やヨガ・ピラティスなどの運動の有効性が報告されています。
また、就寝1時間前の激しい運動は夜の眠りを妨げる可能性があります。ジムでの運動は少なくとも就寝2~4時間前までが推奨されます。
嗜好品とうまくつきあう
嗜好品でリラックスする方も多いでしょう。しかし、付き合い方が悪いと睡眠の質を下げてしまいます。
①カフェインの取りすぎに注意
特に夕方以降は睡眠に影響しやすいので、控えましょう。
②晩酌は控えめに
習慣的な寝酒は睡眠の質を下げるだけでなく、長期的に健康を害する可能性もあります。
③喫煙をしない
ニコチンには覚醒作用があり、睡眠を妨げます。
よくある「眠れる方法」を検証!
「眠れる方法」と言われているものは、本当に眠れるのでしょうか。ここからは、よく聞く眠れる方法で本当に眠れるのか、解説していきます。
眠くなるツボは存在するのか
ツボ押し(指圧)は、不眠症の改善に一定の効果が示唆されていますが、現時点では明確な結論には至っていません。一方で、鍼治療によって副交感神経の活動が高まり、身体的な健康感を改善する可能性があるという報告もあります。
つまり、「ツボを押すだけで眠くなる」とはいえませんが、興味があれば試してもよいかもしれません。
眠くなる音楽に効果はある?
音楽を聴くことで睡眠の質が改善されたという報告はあります。ただ、音楽療法を薬を使わない治療法として用いるべきかどうか、またどの種類の音楽療法が最適かについては、今なお議論があります。リラックスするための方法の1つとして取り入れても良いでしょう。
睡眠の質を上げるパジャマの効果とは?
「睡眠の質を上げるパジャマ」として販売されているリカバリーウェアは、特殊な繊維を使用して血行を促進し、疲労やコリの改善をサポートする可能性を示唆しています。製品によっては一般医療機器として認証されることもあります。これらを使った大規模な研究報告はありませんが、興味があれば使用を検討してよいかもしれません。
それでも眠れないときはどうすれば?
眠れない夜が続くと、「また眠れないのでは」と不安になり、眠ろうとするほど目が冴えてしまうことは多くの不眠症の方に共通する、不眠の悪循環の傾向です。
不眠が続く場合は、1人で悩まずにかかりつけ医に相談することを検討しましょう。正しい使い方をすれば、不眠の悪循環を断つ助けになるでしょう。
まとめ
眠れない夜が続くと、不安やストレスでさらに眠れなくなる悪循環に陥りがちです。しかし、環境を整えたり、リラックス法を取り入れたり、生活リズムを見直すことで、眠りやすい状態を作れます。
まずは、日常生活にすぐに取り入れられそうな方法から挑戦してみましょう。
この記事の補足情報
参考文献
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Feng F, et al:Can music improve sleep quality in adults with primary insomnia? A systematic review and network meta-analysis. Int J Nurs Stud. 2018;77:189-96.
著者情報
- PROFILE/ プロフィール

川合 厚子
トータルへルスクリニック ■免許・資格 医療法人社団清永会 南陽矢吹クリニック 川合労働衛生コンサルタント事務所 昭和56年 自治医科大学卒業、山形県立中央病院、米沢市立病院、公徳会佐藤病院/トータルヘルスクリニックを経て現職。豊富な現場経験を活かして関連のライター・監修医として活躍。 ■所属学会 ・日本専門医機構内科専門医 ・精神科専門医 ・労働衛生コンサルタント ・産業医 ・公認心理士
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