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糖尿病になると足はどう変化する?足病変の症状や経過、正しいフットケアを解説

糖尿病になると足はどう変化する?足病変の症状や経過、正しいフットケアを解説

糖尿病に悩んでいる家族の足を見て、「なんか痛そうだな」と感じたことはありませんか。糖尿病が背景にあると、足に異変が生じることも少なくありません。

足の変化に早く気づき、適切なケアを続けることで、多くのトラブルを防ぐことにつながります。糖尿病になっても、自分の足でできるだけ長くしっかり歩き続けるために、今のうちから糖尿病足病変の知識を身につけておくことが大切です。

どんな変化が受診の目安になるのか、その場合どのようなフットケアを行えば良いのかなどは悩ましいものです。この記事では、知っておきたいポイントをわかりやすく解説します。

糖尿病足病変とは

糖尿病足病変とは、糖尿病の影響によって足や爪が変形したり、足の傷がなかなか治らなかったりなどの足のトラブルの総称です。
糖尿病があると、白癬(いわゆる水虫)などの身近な感染を起こしやすい一方で、状態によっては、足の切断が必要になることもあります

また、足の切断が必要になるほど重い糖尿病足病変になった場合、その後の糖尿病そのものの経過や余命などの見通しが悪くなることもわかっています

このため、早い段階で気づいて対処することが、足を守るうえでとても大事なポイントです。

糖尿病足病変の症状

糖尿病で高い血糖が続くと、足に次のようなトラブルが生じます

・感覚の変化:足がしびれる、痛みを感じにくくなる
・血の流れが悪くなる:足が冷たく感じる、色が紫・青・黒っぽくなる
・皮膚の変化:かかとや足の裏にタコができる、ひび割れが起こる
・足の形が変わる:指が曲がるなどの変形

このような変化があると、小さな傷がなかなか治らない、白癬(いわゆる水虫)が治りにくい、細菌が入りやすくなるなどの問題が起こりやすくなります。

これらを放置すると、潰瘍(深い傷)、壊疽(足の組織が死んでしまう状態)へと進んでしまうことがあります。

糖尿病で足に異常がみられる理由

糖尿病足病変は、神経障害と血管障害のいずれか、あるいは両方が重なって生じます
血糖が高い状態が長く続くと、全身の血管の壁が傷つきやすくなり、次のような神経障害や血管障害が生じます。

・末梢神経障害:神経に栄養を送る血管が傷み、神経の機能が低下・消失する
・末梢動脈疾患:足先に酸素や栄養を運ぶ血管が詰まりやすくなる

末梢神経障害があると、足の感覚が鈍くなり痛みを感じにくくなります。このため、ケガややけどなど、足の異常に気づきにくくなってしまいます。

また、末梢動脈疾患があると、手足の先端の小さな血管に十分な血流が流れず、傷が治りにくくなります

さらに、高血糖の状態は身体の抵抗力を落とすため、細菌感染が生じやすくなります。加えて糖尿病網膜症などの目の見えにくさが重なると、このような足の変化に気づきにくくなってしまいます

こうした理由から、糖尿病では足の傷が悪化しやすくなります。
このほかにも、足の感覚が鈍くなることで、靴擦れなどに気づかず同じ部位に負担がかかり続けた結果、足が変形してしまうことがあります。

足が変形するとさらにケガをしやすくなり、トラブルが繰り返される悪循環に入りやすくなります。

糖尿病足病変の経過

糖尿病足病変は、小さなトラブルから始まり、感染をきっかけにどんどん悪くなるという特徴があります。病変がどのように進んでいくのかを、段階ごとに説明します。糖尿病の足病変に関してはさまざまな分類がありますが、ここでは、糖尿病足病変の当事者が実際に経験する経過にあわせて説明します。

初期:小さな傷や皮膚トラブル

足の感覚が鈍くなると、下記のような軽い刺激や外傷に気づきにくくなり、
避けたり早めに対処したりすることが難しくなるため、結果として下記のような軽い刺激でも傷が生じやすくなります。

・靴ずれ
・爪切りの時のわずかな傷
・タコの下の小さな出血
・乾燥からくるかかとのひび割れ
・湿布やカイロによる低温やけど

糖尿病による末梢神経障害があるとこれらの痛みを感じにくくなり、傷になる前に気づいて避けることが難しくなってしまうことがあります。

中等度:傷が深くなり潰瘍ができる

小さな傷が治らず、少しずつ深くなると潰瘍(かいよう:皮膚が深くえぐれた状態)になります。
この段階では、次のような症状がみられます。

・   傷口が乾かない
・   じくじくした状態が続く
・   周囲が赤く腫れる
・   歩くと痛みを感じる
・   足が重だるく感じる

この段階で適切な対応ができれば、重症化を防げる可能性があります。

重症:感染の併発

潰瘍などの傷口に細菌が入り込み、感染が起こると傷口の状態の悪化が非常に早くなり、次のような症状がみられやすくなります。

・傷口や足が熱をもっている
・傷口から膿(うみ)が出る
・傷口や足に強い赤み・腫れがある
・傷口から悪臭がする
・体温が上がる

感染は短い時間で悪化するため、緊急の治療が必要になることがあります。

最重症:壊疽(えそ)や感染の重症化

筋肉や骨にまで感染が深くまで広がると、骨髄炎や壊死性筋膜炎などの重篤な感染症に至ることもあります。また、腱や靭帯にそって、急速に全身に感染が拡大することもあります

さらに、血流が極端に悪い場合、足先の皮膚が黒く変色し、壊疽(組織が死んでしまう状態)になることがあります。

感染の程度や壊疽などの状態次第で、切断が必要になることがあります。

糖尿病足病変の治療法

初期の糖尿病足病変の場合は、血糖のコントロールと後述のフットケアを行います。
中等度以上の糖尿病足病変の治療は、主に次の3つを組み合わせて進めていきます。

1. 潰瘍(深い傷)への治療
2. 虚血(血の流れが悪い状態)への治療
3. 感染への治療

まず、潰瘍を治すために、傷を清潔に保ちます。
血流が低下している場合は、血管を広げるカテーテル治療や、血管をつないで足に充分な血流を送れるようにするバイパス手術を行うこともあります。また、血流が悪くなって壊死してしまった組織を取り除く、デブリードマンという治療を行うこともあります。

感染がある場合は、抗生剤(抗菌薬など)で治療します。あわせて傷口から浸み出る浸出液を調整し、新しい組織(肉芽)ができるように工夫します
また、傷口が広いときは縫い合わせたり、植皮したりする創閉鎖を行います

なお、次のような場合には、足の切断を考えなければならないことがあります。

・組織が元に戻らないほど壊死している
・血流が極端に悪く、バイパス手術などで改善が見込めない
・骨髄炎が治らない、何度も繰り返す
・感染がひどくなり、全身の状態が悪化している

 足の切断は、つま先(趾)だけの切断や膝の周囲の切断になることもあります。
どの部位の切断であっても、日常生活への影響は大きいため、糖尿病足病変は早く見つけて、早く治療を始めるようにしましょう。

糖尿病足病変の予防・進行を防ぐためのフットケア

重篤な糖尿病足病変を防ぐためには、傷を作らないことや、傷に早く気づいてケアを行うことが大切です。

まずは、糖尿病の治療に加えて、高血圧や脂質異常症の治療、禁煙を行いましょう。傷を作りにくく、傷ができても治りやすい身体づくりをした上で、糖尿病足病変の予防・進行を防ぐためのフットケアをすると安心です。

糖尿病足病変の予防法

糖尿病足病変の予防のためのフットケアは大きく6つあります。

<表1>糖尿病足病変の予防のためのフットケア

1

毎日足を観察する

  • 毎日足の隅々まで見て触って、観察する
  • 見えない部位は鏡を使うか、周囲の人に見てもらう
  • 長時間歩いた後や運動後は特に念入りに観察する

2

足の清潔を保つ

  • 石けんをよく泡立て、柔らかいタオルやスポンジで優しく洗う(指の間も忘れずに)
  • 洗った後は皮膚を傷つけないよう、こすらずに押さえるようにして水分をしっかり拭き取る
  • 皮膚が乾燥している場合は保湿クリームを塗って保湿する(指の間の保湿は白癬の原因になるため不要)

3

爪は切りすぎない

  • 深爪しない(特に爪の角は深く切り落とさない)
  • 巻き爪は長めにまっすぐに切る

4

自分の足に合った靴を履く

  • 足の形に合った靴を選ぶ(つま先に1センチ程度の余裕を持つ)
  • 足が傷つきにくい靴を選ぶ
  • 革や内貼りが柔らかく、靴の内部に硬い縫い目のない靴
  • クッション性があり、靴底が安定している靴
  • 運動や散歩用の靴は、足首が固定されやすい靴を選ぶ(紐やマジックテープのタイプ)
  • 末梢神経障害がある場合は靴の中に異物がないことをよく確認してから履く

5

素足を避け、靴下を履いて足を守る

  • 白癬の予防や足の保護のために靴下を履く
  • 靴下の素材や大きさなどを選ぶ(吸湿性の良い綿素材、内側の縫い目が整っている、小さすぎない)
  • 靴下の重ね履きは避ける(血行を妨げてしまうことがある)
  • 5本指靴下を選ぶ(白癬の予防のため)

6

やけどを避ける

  • 湯たんぽや電気あんかによる低温やけどを避ける(寝る前にはスイッチを切る、設定温度を最低にする、厚手のバスタオルで包むなど)
  • バスや電車の温風吹き出し口を避ける
  • 夏の炎天下の砂浜やプールサイドではビーチサンダルなどを履く

まずは、日常生活からできる糖尿病足病変の予防を始めてみましょう。

進行を防ぐフットケア

傷を作ってしまった場合は流水できれいに洗い流して保護し、毎日よく観察しましょう。
もし、傷の周囲が赤くなったり、熱を持ったり、腫れたり、膿が出たりしたら、専門家への相談を検討するとよいでしょう。

タコやウオノメに関しても、自分で削ったり、自宅にある塗り薬を使ったりすることはせず、医療機関での処置を考えるようにしましょう。

もしかしたら糖尿病足病変かも?受診の目安

糖尿病と診断されていて、足をチェックしたときに深い傷(潰瘍)を見つけた場合は、早めの受診がおすすめです。
軽いケガや水ぶくれでも、「そのうち治るだろう」と油断せず、病院で診てもらうことが大切です。

特に、感染症の徴候があるときは、できるだけ早く病院を受診してください。

・足が赤い(発赤)
・足が腫れている(腫脹)
・痛みがある(※糖尿病では痛みを感じにくいこともあります)
・悪臭がする
・膿(うみ)が出ている

これらの症状は、放っておくと足の状態が急に悪くなることがあるため、迷わず早めの受診を検討するとよいでしょう。

まとめ

糖尿病足病変を重くしないためには、早く気づいて早く治療することが何より大切です。
毎日、足をしっかり見る、できれば手で触って確かめることを習慣にしましょう。

フットケアを続けて足を守り、充実した毎日へ歩みを進めていきましょう。

この記事の補足情報

参考文献

  1. 1.

    糖尿病情報センター:フットケア.治療のはなし. [https://dmic.jihs.go.jp/general/about-dm/040/070/11.html](最終閲覧日:2025年12月21日)

  2. 2.

    一般社団法人日本糖尿病学会. 糖尿病コントロールは足病変の発症予防や足潰瘍の治療に有効か?糖尿病診療ガイドライン2024.  一般社団法人日本糖尿病学会編.南江堂.2024.p.226

  3. 3.

    長谷川宏美,他:下肢難治性潰瘍の治療.日本創傷・オストミー・失禁管理学会誌.2011;15(1):9-15.

  4. 4.

    Hinchliffe RJ, et al: Guidelines on diagnosis, prognosis, and management ofperipheral artery disease in patients with foot ulcers anddiabetes (IWGDF 2019 update).Diabetes Metab Res Rev. 2020;36:e3276.

著者情報

  • PROFILE/ プロフィール

    上田 莉子

    関西医科大学付属病院 糖尿病内科 ■経歴 平成27年 関西医科大学医学部卒業、滋賀医科大学付属病院糖尿病内分泌内科、京都岡本記念病院糖尿病内分泌内科、関西医科大学付属病院病院助教を経て現職。豊富な現場経験を活かし、医療関連のライターとして活躍。 ■所属学会 ・総合内科専門医 ・内分泌代謝科専門医 ・糖尿病専門医 ・産業医

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