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デイケアとデイサービスの違いは?利用対象や特徴を比較
更新日:2025-06-23

デイケアとデイサービスの違いは?利用対象や特徴を比較

デイケアとデイサービスの違いは?利用対象や特徴を比較

デイケアとデイサービスは、どちらも日帰りで利用できる介護サービスです。しかし、名称が似ているのでサービスの内容を混同している方もいらっしゃるでしょう。

この記事では、デイケアとデイサービスの違いを分かりやすく解説するとともに、それぞれのサービスがどのような方におすすめなのかを説明します。

デイケアとデイサービスの違い

デイケア(通所リハビリテーション)とデイサービス(通所介護)は、どちらも日帰りで利用できる介護サービスで、主に自宅で生活する高齢者を対象としています。両者の目的、対象、サービス内容には、それぞれ以下のような違いがあります。

デイケア
(通所リハビリテーション)

デイサービス(通所介護)

目的

リハビリテーション、運動機能の向上や改善、一部の介護など

日常生活上の介護、心身の維持・向上、レクリエーションなど

対象

要支援1・2、要介護1~5

要介護1以上

主な
サービス

  • 食事の提供
  • ・ 食事、入浴、排泄の介助
  • ・ リハビリテーション 
  • ・ 医療的ケア ほか
  • ・ 食事の提供
  • ・ 食事、入浴、排泄の介助
  • ・ レクリエーション 
  • ・ 機能訓練 ほか

費用

利用回数や要介護度によって異なる。

同左

特徴

リハビリテーションを通して心身機能の維持、向上を図ることができる。

レクリエーションを通して充実した余暇を送ることができ、他者と交流を図ることができる。

(文献1〜3を参考に作成)

続いて、項目ごとに整理しながら違いを見ていきましょう。

デイケア(通所リハビリテーション)の特徴

デイケア(通所リハビリテーション)では、自宅で生活する高齢者が病院や施設に併設されるデイケアセンターに通います。理学療法士、作業療法士、言語聴覚士などによるリハビリテーションや、食事や入浴などの介護サービスを受けることができます1

デイケアは病院などの医療機関に併設されているため、必要に応じて医療的ケアも受けられます。

デイケアの対象者

デイケアを利用できるのは、要介護認定において要支援1・2、または要介護1~5と判定され、リハビリテーションや医療的ケアを必要としている方です。

次のような方たちに適した介護サービスです。

  • ・ 高齢になり心身機能が低下しており、その維持・回復が期待できる方
  • ・病気によって障害を負い、心身機能の回復のために、リハビリテーションを必要とする方
  • ・嚥下機能(食べ物を飲み込む力)が低下し、この機能の回復のためにリハビリテーションを必要とする方 など

デイケアのサービス内容

デイケアで提供されるサービスは主に次のとおりです。

項目

内容

食事の提供

利用者の口腔機能に合わせて調理した食事の提供

身体介助

食事、入浴、排泄などの介助

リハビリテーション

心身機能の向上・改善のためのリハビリ

レクリエーション

余暇活動を充実化する趣味活動

医療的ケア

体温や血圧・脈拍などの測定や管理、服薬管理など

(文献2を参考に作成)

デイケアの費用

通常規模型(1カ月あたりの平均利用延べ人員数が750人以内)のデイケアを利用した場合、次の費用がかかります。下記は送迎にかかる費用が含まれていますが、日常生活費(食事やおむつ代など)などは別途負担が必要です。

要介護度

1ヵ月あたりの費用

※自己負担割合が1割の場合

要支援1

2,268円

要支援2

4,228円

(文献2を参考に作成)

要介護度

1回あたりの費用

※自己負担割合が1割の場合

※6時間以上7時間未満の場合

要介護1

715円

要介護2

850円

要介護3

981円

要介護4

1,137円

要介護5

1,290円

(文献2を参考に作成)

デイサービス(通所介護)の特徴

デイサービス(通所介護)は、主に自宅で生活する高齢者が、老人ホームなどに併設されたデイサービスセンター(定員が19名以上)に通い、食事や入浴介助などの日常生活上の支援や、機能訓練、レクリエーションが受けられるサービスです。可能な限り、自宅で自立した生活を送ることを狙いとしています。

また、デイサービスには、介護する家族の負担軽減を支援する目的もあります(レスパイトケアといいます)。

デイサービスは、デイケアと比べて事業所の数が多く3、利用者はどの事業所を利用するか選べる点にメリットがあります。

最近ではリハビリテーション特化型のデイサービスや、レクリエーションを充実させている事業所、午前のみ・午後のみ利用するスタイルの事業所など、さまざまな特徴を持つデイサービスが登場しています。

デイサービスの事業所を選ぶ際には、利用者本人や家族のニーズとデイサービスの特徴をマッチングさせると良いでしょう。

デイサービスの対象

デイサービスを利用できるのは、要介護認定で要介護1~5と判定された方です。次のような方たちに適しています。

  • ・ 日常生活で、一部の介護や見守りが必要な方
  • ・ 趣味や余暇活動を楽しみたい方
  • ・ 他者との交流の機会を持ちたい方
  • ・ 一人暮らしで、自宅での調理や入浴を行うのが難しい方 など

デイサービスのサービス内容

デイサービスでは、以下のサービスが提供されています。 

項目

内容

食事の提供

利用者の口腔機能に合わせて調理した食事

身体介助

食事、入浴、排泄などの介助

機能訓練

心身機能の維持・回復のための簡単な訓練

レクリエーション

余暇活動を充実化させる趣味活動

医療的ケア

体温や血圧、脈拍などの測定や管理、服薬管理など

(文献4を参考に作成)

費用

通常規模(1カ月の平均利用延べ人数750人以内)のデイサービスを利用した場合、次の費用4がかかります。

要介護度

1回あたりの費用

※自己負担割合が1割の場合

※7時間以上8時間未満の場合

要介護1

658円

要介護2

777円

要介護3

900円

要介護4

1,023円

要介護5

1,148円

(文献4を参考に作成)

上記には、送迎に係る費用が含まれています。日常生活費(食費やおむつ代など)などは、別途負担が必要です。

デイケア・デイサービスに関するよくある質問

ここからは、デイケア・デイサービスに関するよくある質問を紹介します。

Q:どちらを利用したら良いのでしょうか?

デイケア、デイサービスのどちらを利用したら良いか分からない場合は、担当の介護支援専門員(ケアマネジャー)に相談し、自身の希望を伝えて助言を受けることも適切な選択をするうえでの1つの方法です。

利用する方の心身状況や、サービスを利用する目的(心身機能の維持か余暇活動の充実を重視すべきかなど)、費用負担をふまえて判断してもらえます。

Q:併用はできるのでしょうか?

要介護認定において要介護1~5と判定された方は、デイケアとデイサービスの併用が可能です。担当のケアマネジャーに相談し、両サービスの利用の目的を明確にしたうえで、適切に利用することが重要です。

Q:何度も利用できるのでしょうか?

介護保険制度を使ってサービスを利用する場合、何度も際限なく利用できる訳ではありません。なぜなら、介護保険制度では利用者の要介護度によって、支給限度額が定められているためです。

支給限度額とは、要介護度ごとに定められたサービス利用量の上限であり、この限度額の範囲内であれば介護保険制度が適用されます。この場合、利用者はサービス費用の一部を負担するかたちになります。

まとめ

デイケアとデイサービスは、自宅で生活する高齢者向けの介護サービスで、それぞれの利用目的や対象、提供されるサービスに違いがあります。これらのサービスを適切に利用することで、日常生活の充実化、要介護状態の悪化防止、社会的孤立の解消につなげることが期待されます。

介護保険制度にはさまざまなサービスがあるので、どれを利用したらいいか迷う場合は、担当のケアマネジャーに相談してみてください。

(参考文献)

1, 厚生労働省:40歳になられた方へ 介護保険制度について. 
[https://www.mhlw.go.jp/content/12300000/001238058.pdf](最終閲覧日:2025年6月12日)

2, 厚生労働省:どんなサービスがあるの? - 通所リハビリテーション(デイケア).
[https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group8.html](最終閲覧日:2025年6月12日)

3, 厚生労働省:令和4年 介護サービス施設・事業所調査の概況.
[https://www.mhlw.go.jp/toukei/saikin/hw/kaigo/service22/dl/gaikyo.pdf](最終閲覧日:2025年6月12日)

4, 厚生労働省:どんなサービスがあるの? - 通所介護(デイサービス).
[https://www.kaigokensaku.mhlw.go.jp/publish/group7.html](最終閲覧日:2025年6月12日)

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