theotol-logo
地域包括支援センターの「権利擁護」の役割を解説
更新日:2024-11-28

地域包括支援センターの「権利擁護」の役割を解説

地域包括支援センターの「権利擁護」の役割を解説<

地域包括支援センターは、高齢者の方が安心して生活を送ることができる環境を整えるために、重要な役割を担っています。

地域包括支援センターの役割の一つである「権利擁護」は、高齢者の方の権利を守り、尊厳ある生活を維持するために欠かせないものです。本記事では、権利擁護業務の目的と背景を説明します。また、具体的な業務内容やその手順についても解説していきます。

地域包括支援センターの概要や利用方法については、こちらの記事をご参照ください。

権利擁護の役割とは?

高齢者の方の生活支援を行う地域包括支援センターには、「総合相談支援」「介護予防ケアマネジメント」「権利擁護」「包括的・継続的なケアマネジメント支援」の4つの役割があります。

そのなかでも「権利擁護」は、成年後見制度の活用促進や虐待への対応を通して高齢者の方の権利を守り、安心して生活を送ることができる環境を提供するために、非常に重要な役割を果たしています。

この業務は法的な根拠に基づいて、高齢者の方の権利保護に取り組んでいます。

権利擁護業務の目的

権利擁護業務の主な目的は以下の3点です1

・高齢者の方へ、自身が有する権利について理解促進

・不当な扱いや虐待の被害などの権利侵害の予防・発見

・権利保障に向けた対応

高齢者の方は、身体的にも精神的にも、そして経済的にも弱い立場に置かれることが多いため、その権利が侵害されるリスクが常に存在しています。権利擁護業務は、このようなリスクを未然に防ぎ、高齢者の方が安心して生活を送ることができる環境を整えるために重要な役割を担います。

主な業務内容

代表的な権利擁護業務として、高齢者虐待の防止や、成年後見制度の利用支援があります。また、その他の高齢者の権利擁護に関する相談にも応じています。

高齢者虐待の防止

地域包括支援センターは、高齢者虐待の兆候を早期に発見し、迅速に対応する役割を担っています。具体的には、地域の住民の方々や介護者の方々からの通報を受け付け、速やかに調査を行います。そして、必要に応じて警察や福祉機関と連携を取りながら、適切な措置を講じていきます。

高齢者虐待の定義と種類

高齢者虐待は主に以下の5つのカテゴリーに分類されます2

1. 身体的虐待:身体に外傷が生じる、または生じるおそれのある暴力行為

2. 介護・世話の放棄(ネグレクト):高齢者に必要なケアを怠り、放置する行為

3. 心理的虐待:暴言や拒絶的な態度によって精神的な苦痛を与える行為

4. 性的虐待:わいせつな行為をすること、またはわいせつな行為をさせること

5. 経済的虐待:高齢者の方の財産を不当に処分すること、または不当に財産上の利益を得ること

これらの虐待は、高齢者の尊厳を著しく傷つけるだけでなく、健康や生活に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。

虐待防止に向けた取り組み

高齢者虐待防止施策として、以下の取り組みなどを実施しています。

虐待防止の啓発活動:地域社会全体で虐待の問題の理解を深めるため、講習会やセミナーを開催し、住民や介護に携わる方々に対して情報提供を行う。

虐待の通報システムの整備:虐待の疑いがあるケースを発見した場合に、速やかに地域包括支援センターや警察、福祉機関に通報できるような仕組みの整備を行う。

虐待防止のための支援ネットワークの強化:地域包括支援センターを中心に、医療機関、福祉機関、警察などが緊密に連携し、高齢者虐待の防止に向けて協力体制を構築する。

成年後見制度の利用支援

認知症などの理由で、高齢者の方が自分の財産を適切に管理することが難しい場合に、成年後見制度の利用を支援することも権利擁護業務の一つです。高齢者の方が不当な契約を結び消費者被害にあって、経済的な損失を被るリスクを回避します。

 成年後見制度の相談から開始までの流れ

成年後見制度を利用するには、家庭裁判所で申立てが必要です。申立てから利用開始まで1〜4カ月程度かかることが予想されます。利用を検討する場合、まずは地域包括支援センターなどの窓口で相談するところから始めましょう3

1.相談:成年後見制度の利用を検討する場合、まずは地域包括支援センター、または社会福祉協議会、成年後見制度に関わっている専門職の団体などで相談をしましょう。

2.申立て:家庭裁判所で申立てを行います。この際、診断書と必要な書類、手数料の準備が必要です。

3.成年後見人の決定・後見の開始:成年後見人は、家庭裁判所が最も適任とする方を選任します。ご本人が希望する方の場合もあれば、弁護士などの専門家から選ばれる場合もあります。

まとめ|権利擁護業務は高齢者の方の生活の安全を守る相談窓口

地域包括支援センターは、高齢者の方の尊厳を守り、安心して生活を送ることができる環境を提供するために、権利擁護業務を行っています。この業務は、虐待や不当な契約締結などの被害の防止・早期発見による早期解決を目指すものです。

地域包括支援センターでは相談窓口を設けており、些細なことでも早めに相談することで、問題が大きくなる前に解決に結びつく場合もあります。気になることがあった場合には、地域包括支援センターで相談することを検討してみましょう。

(参考文献)

1, 一般財団法人 長寿社会開発センター. 地域包括支援センター業務マニュアル(平成 23 年 6 月).(最終閲覧日:2024年10月28日)

2, 厚生労働省. 市町村・都道府県における高齢者虐待への対応と養護者支援について(令和5年3月改訂).(最終閲覧日:2024年10月28日)

3, 厚生労働省. 成年後見制度とは.(最終閲覧日:2024年10月28日)

この記事を読んだ人におすすめの記事

認知機能を維持向上させる12のポイント

認知機能を維持向上させる12のポイント

2021-12-08
    家族で確認!認知症チェックリスト

    家族で確認!認知症チェックリスト

    2021-12-08
    • ピックアップ
    自分でできる認知症の気づきチェックリスト

    自分でできる認知症の気づきチェックリスト

    2024-12-18