前頭側頭型認知症の特徴的な症状について解説します

65歳未満で発症する若年性認知症のなかで、アルツハイマー型認知症、血管性認知症に次いで多い認知症が前頭側頭型認知症です。
この記事では、前頭側頭型認知症の原因から症状、ご家族の対応方法までを詳しく解説していきます。
前頭側頭型認知症の原因
前頭側頭型認知症の原因はまだ解明されていません。
最近の研究で脳の神経細胞の中にある、タウ蛋白、TDP-43というたんぱく質が関わっていることがわかってきました。遺伝子的な要因も考えられています。
前頭側頭型認知症の症状
前頭側頭型認知症は、脳の前頭葉(思考や判断、感情のコントロールを担当する部位)と側頭葉(言語理解や記憶に関わる部位)が進行性に萎縮することで発症します。
もの忘れの症状よりも人格や行動の変化が目立ち、周囲の家族や友人が戸惑うことも少なくありません。
以下のような特徴的な症状が見られます。
・病気という自覚がない
・身なりや周囲に対して無関心になる
・同じ行動を繰り返す「常同行動」が起こりやすい
・万引きや暴力がみられることもある
・言葉の意味がわからなくなり、物品の名前が出てこない
・文字の読み違いが目立つ
前頭側頭型認知症の初期症状
初期では同じ時間に同じ行為をすることにこだわったり、常同行動がよくみられます。
また、社会性の欠如も初期の特徴的な症状です。欲求を抑えられずに本能のままに行動することが増えてきます。
抑制がきかず、なかには万引きや無銭飲食をしてしまう方もいます。
しかし、本人は悪いことをしているという自覚はありませんので、慎重なケアが必要です。
たとえば、家族が買い物に付き添ったり、近所の⽅やよく利用する商店などであれば病識や症状を理解してもらい、万引きがみられた際にはご家族に連絡をしてもらうなどの対策をとることも考えられます。
前頭側頭型認知症の末期症状
症状が進行すると意欲や自発性が著しく低下し、ぼんやりと何もしなくなり引きこもりがちになります。
感情は失われ、言葉も発しなくなり、ベッドやふとんに横になったまま何もせずに1日を過ごすようになります。
食べる意欲や筋力も低下し、やがて動くこともできなくなります。発症してから寝たきりになるまでの期間は6〜8年といわれています。
前頭側頭型認知症の検査・診断方法
問診でご本人の症状や生活の変化について詳しく確認が行われ、ご家族からも日常生活での変化や気になる行動について聞き取りを行います。
問診の結果、疑いがある場合は画像診断や血液検査などで鑑別診断を行い、前頭側頭型認知症に特徴的な前頭葉や側頭葉の萎縮が見られるかどうかを詳しく調べます。
前頭側頭型認知症の治療
前頭側頭型認知症に対して、症状を改善したり、進行を抑制する薬はありません。各症状に対する対症療法が基本となります。
前頭側頭型認知症のケアについて
尊厳を守りながら生活環境を整えることが重要ですが、非常識な行動や暴力などがあまりにひどい場合、一時的な入院も選択肢となることがあります。
症状が特徴的な前頭側頭型認知症のご本人へのケアでは、周囲の理解と支援が必要です。
ご家族だけで抱え込まず、不安や悩みがあれば、専門の機関に相談するようにしましょう。

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まとめ|前頭側頭型認知症の原因と特徴的な症状は?対応方法も解説
前頭側頭型認知症は、65歳未満で発症する若年性認知症の中でアルツハイマー型認知症、血管性認知症に次いで多い疾患です。
脳の前頭葉と側頭葉の進行性萎縮が原因で、タウ蛋白やTDP-43というたんぱく質の関与が示唆されています。
初期症状として常同行動や社会性の欠如が見られ、末期には意欲や自発性が著しく低下し、発症から6〜8年で寝たきりになるとされています。
症状を改善・抑制する薬はないため、各症状への対症療法とともに、周囲の理解と支援が重要となります。
この記事の補足情報
参考文献
- 1.
認知症介護研究・研修 大府センター:若年性認知症支援ガイドブック 改訂5版. 2022. p.8.
- 2.
前頭側頭型認知症. 健康長寿ネット. [https://www.tyojyu.or.jp/net/byouki/ninchishou/zentou-sokutou.html](最終閲覧日:2024年12月19日)
著者情報
- PROFILE/ プロフィール

伊藤 たえ
赤坂パークビル脳神経外科 菅原クリニック 東京脳ドック 院長 ■Profile 2004年 浜松医科大学医学部 卒業 2004年 浜松医科大学付属病院 初期研修 2006年 浜松医科大学脳神経外科 2013年 河北総合病院脳神経外科 2016年 山田記念病院脳神経外科 2019年 菅原脳神経外科クリニック 2019年 現職 ■所属学会 日本脳神経外科学会専門医 日本脳卒中学会専門医 日本脳ドック学会認定医
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