介護にあたっての基本的な考え方
介護にあたって重要なのは、尊厳を守ること、できることは本人に任せること、根本原因を考えること、そして介護者も休息を取ることです。
尊厳を守る
認知症の方を子供扱いせず、介護する方々が、もし自分が認知症になった時にしてほしいと思えるようなケアを。
根本原因を考える
根本原因が解消されない限りまた似たような症状が出るため、介護スタッフやケアマネージャー、医師と話し合って根本的な解決を図る。
できることはご本人に
それぞれの認知症の特徴をよく理解して、苦手なことは手助けし、得意なことは本人に任せることで本人の自尊心が保たれる。
介護する方も休息を
介護者が元気で穏やかな気持ちでいてこそ良い介護につながるため、困った時は担当のケアマネージャーや地域包括センターに連絡を。
監修:高知大学 医学部 神経精神科講座 教授 藪井 裕光先生
主な症状に対する適切な対応
主な症状を理解した上で、適切な対応を取ることが重要です。
記憶障害への対応
本人にとって「記憶にないことは事実ではない」ため、たとえば、同じことを聞かれても感情的にならず、できるだけ初めて聞いたように丁寧に接する。
時間や場所がわからなくなった場合
日めくりカレンダーや時計を目立つところに置く、部屋やトイレの場所がわかるように入口を目立たせる表示をするなどの工夫を。
計画通りに物事を行えない場合
本人が言い出しづらいこともあるので、見守って適切なタイミングで助言したり、一緒に作業したりすると効果的。
理解、判断力が低下した場合
プライドを傷つけない、本人を否定しないことが大切。「本人に悪気はない」ことを十分に理解して、さりげなくフォローする。
精神状態への対応
症状によって対応は異なり、デイサービスなどを利用して活動性を維持する。本人が言うことを否定しない、同時にたくさんのことを言わないなどをして、本人と良いコミュニケーションを取る。
監修:大阪大学大学院 医学系研究科 精神医学分野 教授 池田 学 先生