introduction
時は戦国時代、
殿は認知症かもしれないー。
「わしは豪将・徳田秀政の子孫でな……これはその形見だ」
介護士の松本育美は、もの忘れの激しい徳田のおじいさんから41回もこの話を聞いている。
ある日、徳田さんが持つ謎の形見に触れた松本は、突然、戦国時代へタイムスリップしてしまう。
そこで徳田のおじいさんそっくりな武将・徳田秀政と出会うが、彼もまたもの忘れが激しかった……。
いまも昔も、介護を通じて見えてくる、家族の本音。
すれ違った家族の気持ちをつなげるために、戦国ヘルパー松本が、時空を超えて奮闘する。
監修医師:
東京都健康長寿医療センター 副院長 /
脳神経内科部長
岩田 淳先生
character
松本育美 介護センターで働くヘルパーさん。歴史オタク。入居者の徳田のおじいさんが持つ謎の形見に触れたことで、戦国時代にタイムスリップしてしまう。もの忘れが激しい徳田秀政とその家族のすれ違いを解決すべく奮闘する。
徳田のおじいさん 介護センターの入居者で、戦国時代の武将・徳田秀政の子孫。もの忘れが激しく、人の名前を忘れたり同じ話を何回もしてしまう。家族は介護にあまり協力的でなく、松本にだけ徳田秀政の形見を見せる。
徳田秀政 戦国時代の武将。徳田家の領主として土地と民を思い、飢饉に喘ぐ農民を気にかけているが、少し前のことを忘れることが多く、戦の計画を忘れたり、最近、話もあいまいなことが多い。
お松さん 秀政の妻。秀政のもの忘れに心を悩ませているが、実は、どうしたらいいかのか分からず苦しんでいた。突然現れた松本の正体を怪しむが、松本の行動と提案に心を開く。
徳田秀虎 秀政とお松さんのひとり息子。父・秀政に比べ武芸が全くできず、父の大きな背中に萎縮している。松本が家族のために一所懸命に働く姿を見て、心を動かされる。
お梅さん 秀虎の妻。秀政の後継としての不甲斐なさを気にしている。実は誰にも言っていない「ある秘密」を抱えており、松本にこそっと話しはじめる。
care
もの忘れが多くなった方に対する介護ケアは?
戦国ヘルパー松本による「介護の心得」
其の一
同じ話にも
耳を傾けましょう
其の二
たとえ忘れても、怒らない
責めないことです
其の三
無理せず
できることを続けましょう