theotol-logo
脳卒中の原因は?今日からできる予防法を紹介します!
更新日:2025-02-27

脳卒中の原因は?今日からできる予防法を紹介します!

脳卒中の原因は?今日からできる予防法を紹介します!

脳卒中は突然発症し、命に関わることもある重大な疾患ですが、日常の生活習慣を見直すことで、そのリスクを大幅に減らすことができると言われています。

この記事では脳卒中の原因をわかりやすく解説し、予防のために今日から始められる具体的な対策をご紹介します。健康的な生活を送るために、ぜひ参考にしてください。

脳卒中の原因とは?

脳卒中は血管が切れる「脳出血」や「くも膜下出血」、脳の血管が詰まる「脳梗塞」などの総称です。その原因は多岐にわたり、日常生活の中にもリスクを高める要因が潜んでいます。

脳卒中の代表的な原因である
・高血圧
・生活習慣
・遺伝
・ストレス
について詳しく解説していきます。

高血圧

血圧が高い状態が続くと血管の壁に負担がかかり、血管が硬くなる「動脈硬化」を引き起こします。動脈硬化が進行すると、血管が詰まりやすくなったり破れやすくなったりするため、脳卒中のリスクが増大します¹。
高血圧は自覚症状が少ないため、定期的な血圧測定を行い早期に対策を講じることが重要です。

生活習慣

不健康な生活習慣も脳卒中のリスク要因です。塩分や脂肪分の多い食事、運動不足、不規則な生活習慣、喫煙などは血圧やコレステロール値を悪化させるだけでなく、肥満や糖尿病などの疾患を引き起こす可能性があります¹。これらの疾患は脳卒中と密接に関連しているため、日々の生活習慣を見直すことが予防につながります。 

遺伝

遺伝的な影響としては、高血圧や糖尿病、高コレステロール血症といった脳卒中のリスク因子になり得る疾患が遺伝するケースがあります。これらの疾患は、脳卒中の発症リスクを高める要因として広く認識されています。また、特定の遺伝子変異が脳卒中のリスクを高める可能性があることも研究で示されています。

ただし脳卒中の発症には、遺伝だけでなく生活習慣や環境要因も大きな影響を及ぼします。そのため「家族歴があるから必ず発症する」というわけではありません。適切な予防策を講じることでリスクを減少させることが可能です。遺伝的リスクを認識しつつも、日々の生活習慣の改善を通じて健康を維持することが重要です。

ストレス

ストレスを感じると、体内で「コルチゾール」や「アドレナリン」といったストレスホルモンが分泌されます。これらのホルモンは一時的に血圧を上昇させ、心拍数を増加させる作用があります。慢性的なストレス状態が続くと高血圧が持続し、血管に負担がかかりやすくなるため、脳卒中のリスクが高まる可能性があります²。

またストレスは生活習慣にも悪影響を及ぼします。ストレスによって食生活が乱れたり、過剰な飲酒や喫煙に走ったりすることがあります。これらの行動は、動脈硬化や高血圧など、脳卒中のリスクを高める要因と密接に関連しています。

さらにストレスは睡眠の質にも影響を与えることがあります。不眠や睡眠不足は、心血管系の健康に悪影響を及ぼし、脳卒中のリスクを増加させる可能性があります。

ストレスを軽減するためには、自分に合ったリラクゼーション法を見つけることが重要です。例えば、適度な運動や趣味に没頭する時間を設けるとよいでしょう。また必要であれば、カウンセリングや専門家のサポートを受けることも検討しましょう。 

どんな人が脳卒中になりやすい?セルフチェックをしてみよう

脳卒中は誰でも発症する可能性がありますが、特定の条件に当てはまる人はよりリスクが高いと言われています。ご自身でセルフチェックしてみましょう。

・血圧が高い(家庭で135/85mmHg以上、診察室で140/90mmHg以上。120/80mmHg以上で脳心血管病などの罹患リスクが高くなる3, 4
・家族に脳卒中の既往歴がある
・喫煙習慣がある
・肥満傾向(BMI 25以上)である
・糖尿病や高コレステロール血症と診断されている
・ストレスを強く感じる生活を送っている
・運動不足
これらの項目に心当たりがある場合は、生活習慣の見直しや適切な治療を受けることを検討しましょう。

脳卒中を予防しよう|今日からはじめる5つの対策

脳卒中は日々の生活習慣を見直すことで、そのリスクを大幅に減らすことが可能です。脳卒中の予防に役立つ具体的な5つの対策をご紹介します。簡単に始められる方法ばかりですので、ぜひ今日から実践してみてください。

1. 食事の塩分・脂肪分は控えめにする

塩分の摂りすぎは高血圧や動脈硬化につながるため、1日の塩分摂取量は、男性:7.5g未満、女性:6.5g未満、高血圧の方は6g未満を目標にしましょう5

イメージしやすいよう、塩分含有量の具体例を紹介します。
・みそ汁1杯:約2g
・漬物(小鉢):約1.5g
・ラーメン1杯:約6g
・しょうゆ(小さじ1):約0.9g
・ウスターソース(小さじ2杯):約1g

日本人は塩分摂取量が多い傾向があるといわれています。うどんやラーメンなどを食べるときはスープを半分以上飲まない、だし汁の旨みや香味野菜の香りを活用するなど減塩を意識しましょう。ちくわやかまぼこなどの練り製品、ハム、ウインナーなどの加工食品のとりすぎにも注意が必要です。

カリウムは余計な塩分を尿と一緒に排出する働きがあるため、カリウムを多く含む野菜や果物を積極的に摂取しましょう。青魚やナッツ類などオメガ3脂肪酸を含む食品もおすすめです。

また、脂肪分のとりすぎは肥満や脂質異常症を引き起こし動脈硬化に繋がるため、脳卒中のリスクとなります。食べ物の選び方や調理法で以下のポイントを意識しましょう6
・肉類を控えて魚中心の食事をする
・外食や総菜を控える
・赤身や皮なしの鶏肉など、脂肪の少ないものを選び、調理前に脂身や皮を取り除く
・油を多く使う揚げる・炒めるよりも、蒸す・煮るなどの調理方法を使う
・バターなどの乳製品や、レバー、魚卵、マヨネーズなど動物性食品を避ける

2. 適度な運動で健康的な体重を維持する

身体活動の強度や量を意識して、適度な運動を日常生活に取り入れることが大切です。

【運動量の目安について】
成人の場合7
・1日60分(約8,000歩)のウォーキング
・週に2~3回の筋力トレーニング
・週に60分、息が弾み汗をかく程度の運動

高齢者の場合8
・1日40分(約5,000歩)のウォーキング
・週に3回、筋力・バランス・柔軟性を意識した多要素な運動
また健康的な体重を把握するのも重要です。BMIで糖尿病、高血圧、脂質異常症などの生活習慣病にもっともなりにくいといわれている「標準体重」を計算してみましょう。これは、BMIが22となる体重です。

BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)の式が用いられます。
(例)体重50㎏、身長160㎝の方の場合
BMI=体重(50㎏)÷1.6(m)÷1.6(m)=19.5 となります。

標準体重を目標に運動習慣を作りましょう。
忙しい方でも通勤時に一駅分歩く、エレベーターではなく階段を使うといった小さな工夫で運動量を増やすことが可能です。
また、無理なく続けられるよう家族や友人と一緒に取り組むのも効果的です。楽しみながら運動を続けると、心身ともに健康的な生活を送ることができます。

3. 禁煙・お酒は適量を守る

喫煙することで血管が収縮し動脈硬化に繋がるため、脳卒中予防のために禁煙するのが重要です。
また、アルコールを長期にわたって飲むと血圧上昇のリスクとなります。
1日あたり純アルコール量で男性20~30g、女性はその約半分の10~20g程度を目安にしましょう9

【純アルコール量の目安】

アルコールの種類

男性の目安量(20g)

女性の目安量(10g)

ビール

中びん1本(500ml)

グラス1杯(250ml)

日本酒

1合(180ml)

0.5合(90ml)

ウイスキー

ダブル1杯(60ml)

シングル1杯(30ml)

焼酎

0.6合(110ml)

0.3合(55ml)

ワイン

1/4本(180ml)

1/8本(90ml)

(文献9を参考に表を作成

飲酒する際は、水やノンアルコール飲料と交互に飲むなどして量を調整しましょう。禁煙や飲酒量のコントロールが難しい場合は、医師や専門機関のサポートを受けることも検討してください。一人で頑張りすぎず、周囲の助けを活用することが成功への鍵です。

4. ストレス解消する方法を見つける

ストレスや疲れを感じたとき、身体や心をリフレッシュするためにできる方法は多くあります。
自分に合った方法を試して、少しでも心身のケアをすることが大切です。
以下の方法を参考にして、ストレス解消を試してみてください10

・身体を動かす
軽い運動やウォーキングなど、身体を動かすことで気分転換ができます。
運動はストレスホルモンを減少させ、心地よい疲れをもたらしてくれるため、リフレッシュできます。

・今の気持ちを書いてみる
 思っていることや感じていることを紙に書き出すことで、気持ちを整理しやすくなります。

・腹式呼吸をくり返す
 ゆっくりと腹式呼吸を意識して深呼吸すると、自律神経が整いリラックス効果があります。呼吸に意識を向けることで心身ともに落ち着けます。

・音楽を聞く、歌を歌う
 好きな音楽を聞いたり、歌を歌ったりすることもストレス解消には効果的です。

自分の体調や気分に合わせて無理なくできる方法を選んで実践しましょう。

5. 定期的に健康診断を受ける

健康診断は、自分の体調やリスク要因を早期に把握するための重要な手段です。高血圧、高コレステロール血症、糖尿病など、脳卒中につながる可能性のある疾患は自覚症状がない場合も多いため、定期的なチェックが欠かせません。一般の健診では脳の検査は含まれていません。中高年の人や生活習慣病のある方は、脳ドックもお勧めします。

異常が見つかった場合には早めに医師と相談し、適切な治療や生活改善に取り組むことが大切です。また、家庭用血圧計などを活用して日常的に血圧を測定する習慣をつけると、自分自身で健康管理がしやすくなります。 


まとめ|脳卒中を防ぐために生活習慣を見直そう

脳卒中を予防するためには、生活習慣を改善しリスクをコントロールすることが非常に重要です。 特に、高血圧は脳卒中の最大の危険因子とされています。
血圧は家庭で135/85mmHg未満、診察室で140/90mmHg未満目指し、バランスのとれた食事や適度な運動、禁煙など生活習慣を整えましょう。日々の小さな積み重ねが、大きな健康効果につながります。自分や家族の健康を守るために早期から実践できる予防策を取り入れて、健康的な生活を送りましょう。

参考文献
1, 一般社団法人日本脳卒中学会ガイドライン委員会編:脳卒中発症予防. 脳卒中治療ガイドライン2021〔改訂2023〕.協和企画. 2023.p6-22.
2, Pickering TG, et al:Mental stress as a causal factor in the development of hypertension and cardiovascular disease. Curr Hypertens Rep. 2001;3(3):249-54.
3, 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:高血圧と各種疾病との関係. 高血圧治療ガイドライン2019. ライフサイエンス出版. 2019. p.4-7.
4, 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:高血圧の診断. 高血圧治療ガイドライン2019. ライフサイエンス出版. 2019. p.17-9.
5, 厚生労働省:ミネラル. 日本人の食事摂取基準(2025年版). 2025. p243-8. [https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316468.pdf](最終閲覧日:2025年2月6日)
6, 全国健康保険協会協会けんぽ:【脂質】 ちょっとした工夫で脂質をコントロール.
[https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g4/cat450/sb4501/p004/](最終閲覧日:2025年1月22日)
7, 厚生労働省:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023.成人版.
[https://www.mhlw.go.jp/content/001195866.pdf ](最終閲覧日:2025年2月6日)
8, 厚生労働省:健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023.高齢者版.
[https://www.mhlw.go.jp/content/001195868.pdf](最終閲覧日:2025年2月6日)
9, 日本高血圧学会高血圧治療ガイドライン作成委員会編:生活習慣の修正.高血圧治療ガイドライン2019.ライフサイエンス出版.2019.p64-9.
10, 厚生労働省: こころと体のセルフケア.
[https://www.mhlw.go.jp/kokoro/youth/stress/self/](最終閲覧日:2025年2月6日)

この記事を読んだ人におすすめの記事

アルツハイマー型認知症とは?原因や症状・介護での対応のポイントを解説

アルツハイマー型認知症とは?原因や症状・介護での対応のポイントを解説

2025-01-22
    認知症について知ろう(種類・違い)

    認知症について知ろう(種類・違い)

    2022-01-26
      せん妄とは?認知症との違いについても解説

      せん妄とは?認知症との違いについても解説

      2023-05-08